「親の実家を相続したけれど、誰も住む予定がない」
「財産の大部分が不動産で、兄弟姉妹でどう分ければよいか分からない」
このような場合に、選択肢となるのが「換価分割(かんかぶんかつ)」です。
不動産を売却して、その代金を相続人で分ける方法ですが、売ってから分け方を考えるのではなく、売却前に合意しておきたいことがあります。
執筆:アレンジライフ行政書士事務所 行政書士 正木隆雄
株式会社アレンジライフ 代表取締役
情報確認:2026年10月
換価分割は、不動産を売ってお金で分ける方法です
換価分割とは、相続財産を売却して現金に換え、そのお金を相続人の間で分ける方法です。
家や土地は、預金のように簡単に分けられません。売却して現金にすることで、合意した割合に応じて分配しやすくなります。
一方、相続人の一人が不動産を取得し、ほかの相続人に自分のお金などで代償金を支払う方法は「代償分割」といいます。
| 分け方 | 考え方 |
|---|---|
| 現物分割 | 一人が実家、別の人が預金など、財産をそのまま分ける |
| 代償分割 | 一人が実家を取得し、ほかの相続人に代償金を支払う |
| 換価分割 | 実家を売却し、売却代金を合意した割合で分ける |
誰かが実家に住み続けたいのか、代償金を用意できるのかなど、ご家族の希望や財産の内容によって適した方法は変わります。
換価分割が選択肢になるのは、こんな場合です
相続人の誰も実家を使う予定がなく、今後の管理や維持費が負担になる場合は、売却して分ける方法を検討できます。
また、不動産を引き継ぎたい人がいても、ほかの相続人に支払う代償金を用意できず、分け方が決まらない場合もあります。
ただし、換価分割なら必ず話合いがまとまるわけではありません。「売るか残すか」「いくらで売るか」「誰がどれだけ受け取るか」について、合意が必要です。
相続人の間に争いがあり、交渉や法律上の主張が必要な場合は、弁護士へ相談しましょう。
売却前に、代金の分け方と費用負担を決めましょう
「売れたら兄弟で半分ずつ」とだけ決めていると、後から片付け代や売却費用の負担で認識が食い違うことがあります。
売却を始める前に、次の内容を確認しておきましょう。
| 確認すること | 話し合っておきたい内容 |
|---|---|
| 分配の割合 | 売却代金を誰に、どの割合で分けるか |
| 売却条件 | 希望価格、値下げの判断、売却時期 |
| 費用の負担 | 仲介手数料、測量、家財整理、解体などの費用をどう扱うか |
| 売却までの管理 | 固定資産税や維持費を誰が支払い、どう精算するか |
| 手続きの担当 | 誰が連絡窓口になり、契約や書類の確認を進めるか |
| 代金の管理・分配 | 誰が受け取り、いつ、どのように送金・精算するか |
例えば、売却代金が3,000万円でも、合意した共通費用として300万円を差し引くなら、分配の基礎となる金額は2,700万円です。これは説明用の例で、実際の費用は物件や売却方法によって異なります。
売却に伴う譲渡所得の申告や税金の見通しは、各相続人の事情も踏まえて税理士に確認します。手元に残る金額を考える際は、売却価格だけで判断しないことが大切です。
遺産分割協議書と登記は、売却方法に合わせて準備します
換価分割を行う場合は、不動産を売却して代金を分けることや、分配割合、費用負担などの合意内容を、遺産分割協議書に明確にしておくことが重要です。
「手続きが簡単そうだから、とりあえず一人の名義にする」と決める前に、登記名義、売主、代金の受取方法を確認しましょう。
誰の名義で登記して売却するか、どのように協議書へ記載するかは、登記・税務の取扱いにも関係します。相続手続き、不動産売却、登記、税務の担当者で方針を確認してから進めます。
家財の片付けや解体は、売却の見通しを確認してから
実家に荷物が残っている場合も、相談前にすべて処分する必要はありません。
建物を残して売るのか、解体を検討するのか、家財がある状態で売却できるのかによって、必要な準備や費用は変わります。
特に、借地、再建築できない土地、老朽化した建物などは、一般的な住宅と売却条件が異なることがあります。まず不動産の状況を確認し、売却価格と必要な費用の見通しをつけてから、ご家族で進め方を考えましょう。
相続手続きと実家の売却を、あわせて相談できます
「実家を売って分けたいけれど、相続手続きが終わっていない」「家財が残っている」「いくらで売れるか分からない」。そのような段階からご相談いただけます。
アレンジライフでは、不動産の調査・売却は株式会社アレンジライフが、戸籍収集や合意内容に基づく遺産分割協議書の作成などはアレンジライフ行政書士事務所が担当します。相続登記は司法書士、税務上の判断や申告は税理士と連携します。
売却することが決まっていなくても、まずは実家の所在地や状態、ご家族の希望をお聞かせください。サービス内容と相談方法は、こちらをご覧ください。
