今の時代にインドの四住期の考え方をそのまま当てはめることはできないとしても、生き方のロールモデルとして読み替えることは十分できるように思います。
その場合、家住期まではまず自立を目指す時期、林住期は自律を深める時期と考えると、とてもわかりやすいです。
家住期は、仕事をし、家庭や社会の中で役割を果たしながら、生活の基盤を築く時期です。ここでは、他人に支えてもらうだけでなく、まず自分の足で立つことが求められます。現代でいえば、学び、働き、暮らしを成り立たせる力を身につけるという意味で、自立が大きな課題になります。
それに対して50代以降の林住期は、ただ役に立つ人間であることや、社会的な成功を積み重ねることだけを人生の中心に置かず、自分の内面や人とのつながり、自然や地域との関係を見つめ直していく時期だと言えます。ここでは、自分の欲望や不安、世間の評価に振り回されず、自分の人生を自分で引き受けながら選び直していくことが大切になります。そういう意味で、林住期は自律を目指す時期と捉えることができます。
では、林住期に続く遊行期はどういう時期か。
それは、自立や自律をさらに強める時期というよりも、むしろそれらにさえ執着しすぎなくなる時期として考えるとわかりやすいです。
家住期では、自分の足で立つことが課題になります。
林住期では、他人の価値観に流されず、自分で自分を律しながら生きることが課題になります。
しかし遊行期では、「自分がこう生きる」「自分はこうあるべきだ」という握りしめそのものが、少しずつほどけていきます。
現代的に言えば遊行期とは、役割や肩書き、評価や所有に自分の価値を置きすぎず、うまく生きることさえ手放しながら、残された時間をより軽やかに、静かに生きる時期ではないでしょうか。
それは何もしないということではありません。むしろ、次の世代に譲ること、人に頼ることを受け入れること、思い通りにならないことも含めて人生を引き受けること、自分の経験を必要な形で手渡していくこと。そうしたあり方が、遊行期の姿なのだと思います。
整理すると、
家住期は自立、林住期は自律、遊行期は委ねる・ほどく・譲る時期
と見ることができます。
このように考えると、四住期はすべての人を型にはめるためのものではなく、人が年齢や立場の変化の中で、何を大切にして生きていくかを考えるための一つの道しるべとして、とても示唆に富んでいるように思います。
