司法書士と行政書士の相続業務・報酬・料金の違い|4つの依頼タイプで比較

相続手続きを専門家に相談すると、数万円の見積もりもあれば、数十万円、場合によっては80万円以上の見積もりが出ることもあります。

この違いを理解するには、司法書士か行政書士かという資格だけでなく、「どこまでの業務を依頼するのか」を見ることが大切です。

遺産分割協議書を作るだけなのか、銀行の手続きまで任せるのか、解約した預金の分配や相続人への連絡まで任せるのかによって、業務量と責任が変わります。

この記事では、相続業務を4つのタイプに分け、報酬・料金の違いを説明します。

司法書士と行政書士の相続業務の違い

司法書士は、不動産の名義変更である相続登記を扱います。事務所によっては、預貯金の相続手続きや遺産の管理・承継まで、まとめて依頼できます。税務、法的紛争段階の事案は司法書士の業務範囲に含まれません。

行政書士は、戸籍収集などの相続人調査や財産調査、遺産分割協議書の作成などを扱います。銀行の相続手続きまで扱う行政書士事務所もあります。不動産がある場合には、司法書士と連携して、司法書士が相続登記を行います。税務、法的紛争段階の事案は行政書士の業務範囲に含まれません。

「相続手続き一式」「おまかせプラン」という名称が同じでも、含まれる業務が同じとは限りません。資格名だけでなく、具体的な依頼範囲を解説していきます。

相続業務と料金を4つのタイプで比較

相続業務は、依頼する範囲によって、次の4つのタイプに整理できます。

タイプ主な依頼内容報酬の参考目安
① 個別業務型相続登記だけ、遺産分割協議書作成だけなど数万円〜
② 個別業務+相続手続き型書類作成に加え、銀行手続きや相続登記など20万円〜
③ 個別業務+相続手続き+分配型②に加え、解約金の預かり・各相続人への分配40万円〜
④ 個別業務+中立的な遺産分割支援+相続手続き+分配型③に加え、相続人への連絡や協議の進行支援80万円〜

この分類は、依頼内容の違いを説明するためのもので、公的に定められた業務分類ではありません。

金額も全国一律の相場や最低料金ではなく、比較のための参考目安です。相続人の人数、財産額、金融機関数、調査の難しさなどによって変わります。消費税・実費・他士業報酬が含まれるかどうかも確認が必要です。

① 個別業務型|必要な業務だけを依頼する

相続登記や遺産分割協議書の作成など、特定の業務だけを依頼するタイプです。

例えば、次のような場合です。

  • 相続人同士で分け方が決まり、遺産分割協議書だけ作ってほしい
  • 銀行の手続きは自分で行い、不動産の相続登記だけ頼みたい
  • 相続手続きに必要な戸籍収集を頼みたい

依頼範囲が限られるため、数万円から依頼できる業務もあります。ただし、戸籍収集や調査を追加したり、不動産が複数あったりすると、費用は増えます。

相続人への連絡や銀行の手続きなどを自分で進められる方に向いています。

② 個別業務+相続手続き型|書類作成から銀行手続き・相続登記まで依頼する

戸籍収集や遺産分割協議書の作成に加え、銀行の預貯金の解約・名義変更、不動産の相続登記などを依頼するタイプです。

行政書士に依頼する場合、相続登記は連携する司法書士が担当します。

「遺産承継業務」「相続手続き代行」などの名称で提供されることがあります。ただし、名称だけでは、お金の分配まで含まれるかは分かりません。

報酬は20万円程度からを参考目安にできますが、金融機関の数や相続人の人数、相続登記の報酬が含まれるかによって総額が変わります。

相続人同士で分け方を決められるものの、戸籍や書類の準備、銀行などの窓口での手続きに負担を感じる方に向いています。

③ 個別業務+相続手続き+分配型|解約金の分配まで依頼する

②の業務に加え、銀行の解約金を専門家の預り金口座に集め、遺産分割協議書の内容に従って、各相続人の口座へ送金するタイプです。

相続人の一人が多額の預金を受け取り、ほかの相続人へ送金する負担を減らせます。

料金は、定額のほか、「相続財産額の○%」「基本報酬+財産額に応じた報酬」などの方式で設定されることがあります。実際に、財産額に応じた割合と基本報酬を組み合わせる公開料金表もあります。

報酬が40万円程度以上になるケースを想定しつつ、次の点を確認しましょう。

  • 割合を掛ける対象は、預貯金だけか、不動産を含む財産全体か
  • 最低報酬や相続人ごとの加算があるか
  • 預り金の管理方法と収支報告の内容
  • 送金手数料や相続登記の報酬が別途必要か

手続きだけでなく、お金の受け取りと分配まで任せたい方に向いています。

④ 個別業務+中立的な遺産分割支援+相続手続き+分配型

③の業務に加え、専門家が各相続人に郵便などで連絡し、意向を確認しながら、遺産分割協議の進行を支援するタイプです。

兄弟姉妹の相続や、叔父・叔母が亡くなって甥・姪が相続人になるケースなど、疎遠な相続人がいる場合に検討されます。

例えば、次のような場合です。

  • 長年連絡を取っていない相続人がいる
  • 相続人が各地に住んでいて、集まることが難しい
  • 代表相続人が一人で連絡を取りまとめることに負担を感じている
  • 各相続人に同じ資料や説明を届けながら進めたい

司法書士・行政書士のいずれにも、紛争のない相続について、中立的な立場で遺産分割協議を支援する事務所があります。

相続人全員の意向を確認し、財産に関する資料や説明を共有しながら、郵便などによる連絡、協議の進行支援、合意内容に基づく遺産分割協議書の作成を行います。具体的な対応範囲は、事務所や契約内容によって異なります。

連絡・説明・意向確認に時間がかかるため、総額が80万円以上になるケースもあります。ただし、疎遠な相続人がいるだけで、この金額になるわけではありません。

中立的な支援であっても、争いのある遺産分割について、司法書士や行政書士が特定の相続人の代理人として交渉できるわけではありません。代理交渉や紛争解決が必要な場合は、弁護士への相談を検討します。

相続の料金は「報酬」と「実費」を分けて確認する

見積もりを見るときは、専門家の報酬以外に、何が必要になるかも確認しましょう。

戸籍などの証明書取得費、郵送料、相続登記の登録免許税、送金手数料などは、報酬とは別に請求されることがあります。

自分に必要な業務を選ぶことが、費用の納得につながる

相続人同士で連絡を取り、分け方を決め、お金の分配もできるなら、①や②で足りる場合があります。

一方、解約金の分配を任せたい場合は③、疎遠な相続人への連絡や協議の進行支援も必要な場合は④が検討対象になります。

料金を比較するときは、「この金額で何をしてもらえるのか」「自分には何の作業が残るのか」を確認しましょう。

資格名や金額だけで選ぶより、必要な業務と依頼範囲が合っているかを見ることが大切です。

アレンジライフ行政書士事務所の相続手続きサービス

アレンジライフ行政書士事務所は、②の「個別業務+相続手続き型」を基本としています。

相続人・財産の調査、遺産分割協議書の作成、銀行の相続手続きなどを行います。不動産の相続登記については司法書士と連携しています。

預貯金については、遺産分割協議書の内容と相続人全員の合意に基づき、各口座の解約金を代表相続人の口座で受け取り、代表相続人から各相続人へ分配していただく形を基本としています。

分配する金額と振込先が決まっていれば、送金自体はそれほど難しい事務ではありません。そのため、通常は専門家による預かり・分配まで依頼する必要はないと考えています。

ただし、代表相続人が高齢で送金などの事務を行うことが難しい場合には、当事務所が解約金をお預かりし、各相続人へ分配する業務もお受けしています。ご事情に応じて、必要な範囲をご相談いただけます。

相続手続きサービスの内容・料金はこちら

兄弟姉妹・叔父叔母の相続は、専用サービスで対応します

兄弟姉妹が亡くなった場合や、叔父・叔母が亡くなり甥・姪が相続人になる場合は、戸籍の収集範囲が広く、相続人の人数も多くなることがあります。

疎遠な相続人がいるほか、故人の預貯金や借金、不動産の状況が分からないケースもあります。

当事務所では、こうした兄弟姉妹・叔父叔母の相続手続きに特化したサービスをご用意しています。

相続人や財産の調査から、必要な書類の作成、預貯金の相続手続き、相続不動産のご相談まで、ご事情に合わせて対応します。相続登記は司法書士と連携して進めます。

「市役所から突然、叔父・叔母の相続に関する書類が届いた」「疎遠な兄弟姉妹が亡くなり、何から始めればよいか分からない」という方も、ご相談ください。

兄弟姉妹・叔父叔母の相続手続きサービスはこちら

筆者:行政書士 正木隆雄
確認年月:2026年10月

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